小さな旅②
ふと気が変わって目的地を変更。着いたのは港というより小さな船置場でした。車を降り、防波堤の上に立つと、きらきらと雲母のように輝く青空が広がりました。目を洗うようなコントラストです。遠く小さな漁船が見えました。しばらくぼんやり突っ立って海を眺めていました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水の流れのような薄いショールを街を歩く娘さん達がしている。一ツ欲しいな。洋品店の四月の窓飾りは、金と銀の桜の花だ。
空に広がった櫻の枝に
うつすらと血が染まると
ほら枝の先から花色の糸がさがつて
情熱のくじびき (林 芙美子「放浪記」)
ずっと探していた林芙美子の絶版本を見つけたのはさびれて人通りも少なかった頃の上川端商店街でした。老夫婦の経営する小さな古本屋でセピア色に変色した背表紙を見つけた時のことを覚えています。丁寧にトレーシングペーパーでカバーをかけ、この本は自分の宝物になりました。
それからほどなくしてまたその店の前を通りかかって「あっと」思いました。店には冷たいシャッターが降ろされ一枚の張り紙だけがありました。今もあのお店のあった場所の前を通りかかるとあの日のことをまざまざと想いだすのです。
















