梅雨お見舞い申し上げます。
六月はいつまでも日が暮れない。
子供たちと夕食をとる頃、ようやく長かった一日が終わっていく。
子供の時分、だんだん暗くなっていく部屋が好きだった。わざといつまでも部屋の明かりを点けず窓辺でぼんやりして過ごした。
午睡してめざめ、時間感覚の不思議なズレを面白がった。
尾崎翠はこの甘美なねざめの 混迷を詩に書いていた。
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かすかな鐘の音がひびいてくる。
何処ともしれないところをさまよい歩いてゐた者がな
つかしい場所にたどりついたやうなおちつきが私を
とりまいてゐた。
夢のうちのあの淋しさ。けれどさっきの鐘の音も
やはり夢の世界から来たものか。
海なりの音に気がつくと私はいそいで半身をおこした。
黒いピンはゆふべのままに枕もとの本の上に
おいてあった。
それを取って髪にさしながらいつまでも床のあたた
かさからはなれたくなかった。・・・・
(尾崎翠「ねざめ」)



















